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エリクソンの発達理論
「自我同一性(アイデンティティ)」 「エリクソンの発達理論」 ライフサイクル論 八つの段階
エディプス・コンプレックス
「自我同一性(アイデンティティ)」
自我は社会的発達の過程において
多くの他者や集団や社会の価値・規範・役割期待などを取得するが,
その結果,それぞれの他者・集団・社会に対する複数の「・…としての自分」と,
それぞれの他者・集団・社会と共通する観点・一般化された他者の観点を獲得する。
個人はそれぞれの状況に応じて一定の社会的役割を果たすことによって
自分の自我を確認し検証する。
例えば,
長男(長女)としての自分,
友人としての自分,
男(女)としての自分,
会社の一員としての自分,
日本人としての自分
などである。
このようなそれぞれの「・・・としての自分」を選択しつつ行為するが,
これら複数の「・・・としての自分」の同一性を統合し,
秩序づけ組織化する普遍的統合的自我の連続性・斉一性・普遍性を
自我同一性(ego-identity)
と,エリクソンは呼んでいる。それは,個人独自の存在であることの証明である。
各々の同一性は,個人が役割取得の過程で次々に獲得したものである。
この同一性の獲得は,社会的経験を深めるごとに累積的に行なわれ,
職業人としての自分,退職者としての自分,親としての自分,老人としての自分
などの役割を取得するように, 生涯継続する。
例えば,
子どもから大人への移行期である青年期は,
自我がこれら多数の同一性の中から,
成人した自分にふさわしいもの、自分のものとして肯定しうるものを,
あらためて自覚し選択しなおす時期である。
すなわち,青年期の自我は,
彼が生まれ育った環境,その時代・社会が提供する
価値や規範,役割,行為,権威
のなかから
自分の自我同一性と適合するものを意識的に選択し,独自の体系化を行なう。
この自己選択と,
幼児期以来,無意識的に獲得していた同一性をいかに統合するかが,
彼の重要課題となり,これが青年期の自我の自覚であり,個々に自我の危機が生じる。
そして,自分にふさわしい「・・・としての自分」(同一性)を選択する青年期は,
自己の内部に沈潜するモラトリアムの時期である。
それはさまざまに自己選択と自己定義を模索し苦悩する修行期間であるから,
社会の側が一人前の大人としての社会的責任や義務を一時的に猶予する時期として位置付けられる。
(越井郁郎)
「エリクソンの発達理論」
(三沢謙一)
フロイト,ユングの継承者で,
アメリカインディアンの子どもの研究から出発したエリクソンは,
1950年代以降,青年期・成人期の研究に重点を移していった。
そうした発達研究の基礎理論として構想されたのが彼の
ライフサイクル論である。
それは,フロイトの心理・性的な発達理論に,
ユングの考え,自我心理学の成果,社会的・文化的視点などを加えてさらに発展させたものである。
彼はルター,ガンジーなどの伝記の研究によって,その発達理論を裏打ちし,
ライフサイクルやアイデンティティの考えの提唱者として,広く一般にも知られるようになった。
エリクソンは,
人間の発達を自我の発達に焦点を置いて捉えた。
彼は、リビドーの存在を認め,
それが各器官に順次移行していくというフロイト理論に立脚しながら,
このリビドーの高まりが自我の発達と内的に関連している点,
および対人関係や歴史的・文化的環境が自我の発達に欠かせない点に注目した。
エリクソンは,これらの要点が
自我の発達にあらかじめ予定された課題(心理社会的危機)を設定していると考える。
(自我は最初の課題を乗り越えなければ,次ぎの課題と取り組むことができない。)
したがって,それぞれの課題は一つの段階を構成することになる。
自我の発達に関するこのような考えから,
エリクソンはライフサイクルを八つの段階に区分している。
8つの段階および課題とはつぎのようなものである。
1)乳児期「基本的信頼 対 不信」
(母子関係において,乳児が基本的不信をうわまわる基本的信頼のパターンを確立できるか否か)
2)早期児童期「自律性 対 恥・疑惑」
(排泄のしつけを通じて,幼児が「保持しておくことと手放すこと」を協調させ,
自律的な意志を身につけることができるか否か)
3)遊戯期「積極性 対 罪悪感」
(エディプス・コンプレックスによる罪悪感を乗り越えて,自発性・積極性を身につけられるか否か)
4)学齢期「生産性 対 劣等感」
(劣等感や不全感にうちひしがわれてしまわないで,勤勉さ,達成能力を身につけられるか否か)
5)青年期「アイデンティティ 対 アイデンティティ拡散」
(急速な身体的成長と性的成熟がもたらす、自分についての自他のイメージや認識の動揺を克服して、
自我アイデンティティの感覚を得ることができるか否か)
6)初期成人期「親密性 対 孤立」
(アイデンティティの融合に裏づけられた友情,愛,性的親密さを得ることができるか否か)
7)成人期「生殖性 対 停滞」
(次ぎの世代をはぐくみ,世話することに喜びをかんじられるようになるか否か)
8)成熟期「統合性 対 絶望」
(自己嫌悪に陥ることなく,自己の人生を自己の責任として受け入れることができるか否か)
エリクソンは人間の発達段階を8つに区分し,一つの段階から次の段階に移行したとき,
個体と環境との関係から要請される発達課題を
達成できるかどうかの緊張状態を「心理・社会的 危機」とよんだ。
またエリクソンは次のようにも述べている。
「『危機的』というのは転機の特質であり、
前進か退行か,統合か遅滞かを決定する瞬間の特質である」
エディプス・コンプレックス
精神分析の用語.
男根期の終わろうとする頃,幼児が同姓の親と競争して,
異性の親を求め,同姓の親の死を願う,抑圧された願望のこと.
父を殺して,母をめとったエディプス王に関するギリシャ神話によってフロイトがこう名づけた.
フロイトは初め,男の子の母親に対する願望をこう呼び、
女の子の父親に対する願望はエレクトラ・コンプレックスとよんだが,
最近では,両者を合わせて,エディプス・コンプレックスと称する.
子どもは親が自分の願望に気づいていると思い,親の復讐を恐れて(去勢不安)その願望を抑圧する.
しかし,性的衝動のエネルギー(リビドー)は,そのはけ口を求め,
それが同姓の親との同一視というかたちをとったとき、
エディプス・コンプレックスは解消して潜在期がくる.
したがって,エディプスコン・プレックスは,
子どもの社会化(昇華)のためのエネルギーにもなっていると考えられる.
エディプス期に固着した人は,
男では母親固着女では父親固着となり,
愛の対象としてその親に似た人を選ぶという.
02/01/10
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